【漢方褒貶】―メニエール症候群?―

 

几帳面そうな70代の女性の漢方相談です。食事内容や血液検査データ、また服薬歴(西洋医学の医薬品)を詳細にチェックしました。今、一番困っている症状はふらつき(めまい)であり、メニエール症候群といわれているとの主訴でした。しかし、服薬一覧にはメニエール症候群に用いられる医薬品は処方されておりません。ここでメニエール症候群について少し解説します。もともと1861年、今から157年前、フランスの耳鼻科の先生であったメニエール氏が内耳の障害によってめまい、悪心、嘔吐や耳鳴り、またこれらが持続し、難聴となる症状のあることに気がついてこの病名がつけられました。発作性の回転性めまいや特に低音が聞き取り難い難聴などを引き起こします。発症が一週間ほどの急性期は心身の安静が必要で発作を繰り返すと内耳の血行不良、内リンパ水腫など不可逆性となり難治性となります。原因は自律神経の失調や循環調節不全、水の代謝障害、アレルギーなどが考えられますがよくわかっていません。動脈硬化と異なって、循環器系の障害、脈拍、血圧などの変化は認められませんし、意識不明になることもありません。

 

漢方療法

漢方療法は水毒(水の巡りの異常)、瘀血(血の巡りの異常)など主訴を目安として処方が決められています。西洋医学では悪心や嘔吐を指標として医薬品が処方され対症療法が行われています。トラベルミンなど古い医薬品ですが今でも用いられています。
さて、“ふらつき”を主訴とされて来られましたが、特に食事内容など生活習慣、血液検査結果など異常は認められませんでした。長時間持続型の血管拡張剤の服用のその理由は「高血圧が不安だから漫然と長年やっている。」とのことでした。
ふらつきの原因はここにあると考えられますが、本人はこの血管拡張剤を中止するのが心配ということでしたので、まず1/2錠位の減量で様子を見ることとしました。ふらつき=メニエールとの思い込みの無い様にしないといけない症例でした。

耳の構造図

 

薬剤師・医学博士 山原 條二 

 

 

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