
脳卒中など虚血性心血管系の疾患は発症後に寝たきりとなる可能性が非常に高く、健康で長寿であるためには、これら病気の発症予防は不可欠です。循環器系疾患の原因のほとんどは適正な食事内容の摂食が解決してくれると考えていますので、「食養生」の重要性については時ある毎に解説しています。
高血圧、高脂血症、糖尿病、腎臓疾患や今回解説する高尿酸血症などは循環器系疾患へと繋がる病状です。AGEsなどの損傷蛋白の体内での増加はさらにこれらの病症発症の基礎部分といえます。本当に健康体を造るためには、ここからの対策が最重要であると考えていますが、すでに何らかいわゆる生活習慣病にかかっていたらその対応策も知っておくことも必要です。
まず高尿酸血症は男女共に血液中に尿酸が7.0mg/dℓ検出されると判定される病気です。しかし女性は一般的に尿酸値が常に低く、痛風発症者の男女比は20:1と非常に少ないです。2019年に痛風で通院した患者数は男性119.5 万人:女性5.9万人と圧倒的に男性が多いです。この患者数は毎年10万人ずつ増加しています。どうして男性に多いのかは不明です。また、痛風になる予備軍の高尿酸血症はこの10倍の1000万人は居ると推測されています。成人男子の4~5人に一人は高尿酸血症者であるという計算です。これは欧米諸国と変わらない割合で、やはり急激な食事内容の欧米化、肉食への偏食、緑黄色野菜・芋・海藻などの摂食不足が考えられます。ではどうして犬や猫は痛風にならないのでしょうか。それはヒトと異なり尿酸分解酵素ウリカーゼを持っており、尿酸を水溶性のアラントインという化合物に変えて排泄することができるためです。
成人男子の体内の尿酸量は約1200mg(700-1700mg)とされ、生体内でのプリン体と言われる尿酸の素は、毎日の新規合成や食事由来で一日700-800mgが体内に流入したり再吸収されたりして、また同量が排出されることでほぼ一定に量が確保されています。尿中と糞中へ7:3の割合で排泄されます。どうして腎臓で再吸収され体内の尿酸値を一定に保持しているのか、その理由は未だによくわかっていません。腎臓では90%が再吸収を受け10%が排泄されています。高尿酸血症は肥満、飲酒、高カロリー食品の摂取過多と言われています。アルコール類はいずれも高カロリー飲料と言えます。うどん100gと清酒100gはほぼ同じ100kcal程度です。うどんやごはんは何杯も食べられませんが、酒であれば日本酒なら3合約500g、ビールなら(40kcal/100gですが)1ℓ位平気で飲用してしまうところに問題があります。エネルギーは体内でATPという形で補給されています。ATPのAはアデニンというプリン体です。高尿酸血症発症の心配がないアルコールの飲酒量はアルコールとして20-25gですので、ビール大缶500mℓ、日本酒1合、ウイスキー60mℓ、ワイン125mℓ、焼酎90mℓといずれも寂しい量です。

プリン体は肉類(獣肉のみならず魚肉にも)に多く含まれていますが、蛋白源でもあるので1食あたり80-100g程度の摂取に留め、野菜や芋類・茸など旬の物を多めに摂取することが基本です。ホルモン焼の素材である内臓は特にプリン体が多いです。これに対して、卵・果実・乳製品・芋・穀物・野菜・茸・豆類は平均して少ない食品です。食品の中でポリフェノールの多い野菜類、またVC(ビタミンC)の多い果物やミカン類も尿酸の排泄を促進すると報告されています。ポリフェノールやVCの含有量の多い粉末茶などにも注目するとよいでしょう。 医薬品は最近尿酸排泄促進薬も上市されてはいますが医薬品に依存せず食事内容に留意し血中の尿酸値を7.0mg/dℓ 以内に、できれば6.0mg/dℓに維持しておくと循環器系疾患の発症予防にもなり推奨されるところでしょう。
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